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芥川賞は、面白そうなものがある時は
文芸春秋を購入して読む程度です
どれも読むべきなのでしょうが
なかなか面白いものがなかったり
今回、前に書いた、ジェーン・バーキンの友人
というジャーナリストの方が思い出を掲載したというので
それもあり買いました
(しかし、それは紙面の関係もあるのでしょうが、ネットに
載っていた以上のことはあまりありませんでした)
で、芥川賞受賞作、「ハンチバック」はせむし
ノートルダムのせむし男、のあれです
作者自身が、先天性ミオパチーという難病で
これは筋肉が発達せず、だんだんに歩けない
それだけでなく、呼吸筋なども衰えるため
人口呼吸器にたよらなくてはならない、という
筋ジストロフィーも、この一種だそうです
筋肉が体を支えることが出来ないので
背中も曲がってしまうのでしょう
で、たしかに、そういう方がどんな小説を
書くのか、という興味もありました(興味本位?)
で、読んでみると
ぶっ飛んでて驚いた!
まあ、エロチックな描写がけっこう多いです
言っておきますが、性、エロスは人間の存在の
根源的なもののひとつなので、その分には
なんら問題ない、ただ
女性作家の純文学でこういうのはあまり読んだことがなかった
たしか、Simone de Beavoir ボーヴォワールの
「第二の性」がそうだったか、と
具体的には覚えていないですが
主人公の女性も、同じ難病で
しかし、亡くなった両親がマンション1棟を
介護つきシェアハウスとして彼女に残したので
経済的には困っていない、という設定
(もちろんこれはフィクションです)
とにかく主人公の存在感に圧倒される
その状況の切実さと腹の座り方がすごい
なんとなく淡い恋愛の青春物語、などとは全然ちがって
健常者へのユーモア混じりの毒舌と本音が面白い
差しさわりがないので放送でも取り上げられていますが
厚くて重い本を支えて読むことも困難なので
電子書籍でなく、紙の本を尊重するという
「健常者の読書文化のマチズモを憎んでいた」
という問題提起
これにはある程度共感できました(比べものにはならないが)
なにしろ老眼で細かい文字が読めない
読みかけのフランス語のpoche (文庫本)を
引っ張り出してくると
いったいわたしはどうやってこんな小さな文字を読めたのか?
自分でも不思議になったりします
(ちゃんとしたメガネを作れば少しはマシになるでしょうが。
もともと軽い近眼と軽い老眼が長いことつり合い、薬のせいで
白内障の手術を早めにしたため、メガネをかける習慣が
ほとんどない)
わたしのことはどうでも良いですが
健常者と同じになろう、と
妊娠して中絶しよう、と思う
(出産するのは無理だろうと)
これ以上内容をかくのはやめます
興味のある方はご一読下さい
このごろの芥川賞はたいていその時だけで
忘れてしまうけど、これは容易に忘れないと思う
特異なシチュエーションもあると思いますが
文章とか内容の強さに圧倒されると思います
文芸春秋をお買いになると
選者の評とか、作者のインタビューも載っています
市川さんの印税にならないか?
だいたい20歳ごろからずっと20年くらい
ライトノベル(読んだことない)ファンタジーなどを
ずっと書いていたそうです
いわゆる、純文学ははじめて、それで受賞
それだけ書いていた厚みがあると思う
また彼女は早稲田大学の通信課程で卒論を書いていて
重度障碍者を主人公にした文学がほとんどないことに気づき
みずからを主人公にした小説を書こうと思ったとか
若い人の言葉になっているので(設定では30歳ちょっと)
読みやすいと思います。
興味のある方はぜひ!
テレビの授賞発表の模様がネット上にありますので
貼り付けておきます
(2) 【芥川賞】「ハンチバック」市川沙央さん 「読書バリアフリー」訴える 当事者の視点で - YouTube
市川さんが、これからどんな作品を書くのか
楽しみです

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