フランスとフランス語あれこれ(英語もちょっぴり)

フランス語、フランスの文化、ニュースなど、また日本での旅行の記録、フランスなどに在住のフランス人メル友からの便りなどを紹介していきます。 今後、フランス語の細かい説明などの記事を増やしていく予定

2019年06月

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ご存知の方はもうご存知と思います
フランスで人気の現代作家
ミシェル・ウエルベック

なしにろゴンクール賞(日本の芥川賞と直木賞をあわせたような、つまり
最高といっていい文学賞)も受賞しており日本語訳も多数

冬ごろに、France2で、彼の新作が出た、と平積みになっている
映像を流していました
はあ、そうなの? それにアメリカでも売れていて
トランプも喜びそうな内容・・・とか

それは何だ?!とおそまきながら一冊買ってみました
(日本のアマゾンでも原書を購入できます)

まずは Soumission 「服従」
ある大学の先生が、うだつのあがらない日々を過ごし
政治情勢(実名も出てくる)、イスラム教の政治団体、教え子とのセックス
などが交互にでてきます

おりしも次回の大統領選2022年を舞台とする近未来小説
(現在の大統領はマクロンでなく前大統領のオランドになっています。
2017年の大統領選挙以前に書かれた)
極右のル・ペンを排除するため、なんと社会党からはじまって右派も
ムスリム同胞団のような、イスラム教の党に協力して
フランスがイスラム共和国になってしまう!という内容

そしてこの小説が、なんとCharlie Hébdo のテロの当日に発売
フランスの状況を予見したとして話題に!


あちこちで内乱のうわさ、混乱をさけて主人公はパリを離れ・・・
この辺の不思議な空気はよく描かれていると思いました

主人公もイスラム共和国となった、大学で教鞭をとることを
受け入れる、服従する、という結末
(文庫本の表紙、左ですが、エッフェル塔の先端が、イスラムを象徴する
三日月になっています)

しかし、女性蔑視、なにしろ最後は従属することを良しとする
(アッラーの神に)内容ですから、人の良識を逆なでするところ多々あり

ただ、宗教について、なるほど、と思ったところもありました
すなわち、カトリックの信者などがイスラムに改宗することは難しいが
無宗教、無神論者などがあるとき信仰をもち、イスラムになるほうが
あり得る。たしかに。



で、もう一冊読んでみようかな、と

それで今読んでいるのが
La carte et le territoire
「地図と領土」

こちらは長編。あるアーチスト、初めは写真家ですが
画家に転向した人物が主人公
読みやすく、Soumissionのように腹立つ?ところはありません
ゴンクール賞受賞作

だいたい、作者によると(両作に共通していますが)
ヨーロッパ、フランスはもう衰退しており、中国、ロシアが台頭している
夢も希望もない・・・というのが基調
(こういった小説を日本でだしたらどうでしょう?もう日本はダメで、中国が
最先端である・・・。反日、といわれかねませんね。この辺り、フランスらしい)

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少しフランス語を引用しましょう。わかりやすい文です。(会話ということもあり)

この小説の主人公は画家として成功をおさめるのですが
なんと作者のウエルベックに個展の解説文を頼むことにします
それを父親と話す場面(お父さんはもう引退してホームに入っている)

父親の言葉
''Il y a une petite bibliothèque à la maison de retraite; 
ホームには小さな図書館がある
j'ai lu deux de ses romans. 
彼の小説を2冊読んだよ。
C'est un bon auteur, il me semble.  
いい作家じゃないか。
C'est agréable à lire, et il a une vision assez juste de la société. 
面白いし、今の社会についてなかなか正しい視点を持っているね。
 Il t'a répondu? "
彼は返事してきたかね?

という具合(自画自賛?)


そして実際、アイルランドの草ぼうぼうの家に住んでいるという作家に会いにいき
本人登場!

主人公のJed に対してわりと親切に対応する作家におどろいて
もっと気難しい人だと思っていたJed はこう言います

Vous avez la réputation d'être très dépressif.  
あなたはとても落ち込んでいる人という評判です。
Je croyais par exemple que vous buviez beaucoup plus.
たとえばもっと大酒のみだと思っていました。

すると、ウエルベックはこう答える

Vous savez, ce sont les journalistes qui m'ont fait la réputation d'être ivrogne;
あのね、わたしが酔いどれという評判を作ったのは、記者たちだよ・・・
c'était uniquement pour parvenir à les supporter.
飲んだのはたんに彼らに耐えられるようにするためさ。

ユーモアというか皮肉というか・・・
まだこの辺までしか読んでいませんが 

作者自身が本人として登場するなど、発想がすごい

また、信じられない比較とかあちこちに見られます
たとえば、
今の若いもんは、キリストの生涯は知らないが、
スパイダーマンの生活には詳しい・・・」

YouTube に簡単な紹介の番組が載っています
(字幕つき!)
https://www.youtube.com/watch?v=Vf7jZyER3jo

スーパースター、ウエルベックという内容

たんに作家の範囲を超えて、社会学的な考察、直観を持っている
Serotonin セロトニン は ジレ・ジョーヌの運動を想わせる
さらに直観的に売れる、というかマーケティングの出来る人
一方、un romantique dépressif =  ロマン派的な悩める人 の範疇に入っていて
ラマルチーヌのような系列であり、その意味で伝統的、であるとしています

このあとに、2年前のテレビ番組に出演したものがあります(自動的に変わります)
ま、一度ごらんになってもよいかも・・・

気になる作家です!

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6月22日追記
数日前に読了。第3章はミステリー仕立てになっていて(刑事もの)一気に
読みました。しかし、目が死んで、エピローグはあとでゆっくり読みました。
人の気分をさかなでするような所もやはりありますが
現代社会の問題を多岐にわたって描いていると思います
興味のある方はぜひ!


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お久しぶりです。

わたしは、エゴン・シーレも大好きで去年ウイーンで回顧展など
あったらしく、日本にもある程度巡回するのではないか、と楽しみに

で、大ウイーン展なるものが新国立美術館で開催、シーレもあるというので
行ってきました。しかし、期待のものはほとんどなく
延々とウイーンの歴史、しかもあまり・・・
なんでも飾ればいいってもんじゃない?

分離派をやってくれればよいのに
(ウイーンには一度行きましたが、その時は古典的名画ばかりの歴史博物館、デューラー、ブリューゲルなどをみました)

それでブログの更新も遅れた?



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クリムトのこの絵は撮影OK



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これが、ポスター

カードです
自分の部屋を描いたもの
私のもっている画集には、ゴッホの「部屋」の絵の影響が
みとめられるとも。


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ほかにデッサンなどもありましたが
シーレ独特の、ごつごつとした指や腕、人間の悲しみ、苦しみを表したような
肖像、人物像はあまりなかった
ちょっと残念でした

で、散歩に



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そとは気持ちの良い5月の午後
あ、子供の日でした
ヒルズに行く途中

大きな、人が中にはいれる鯉のぼりがあり、娘と入る



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風を送ってふくらませていますが
道がなんとなく下っていて
天井はいつもふわふわ
なんか酔いそう、でした でもオモシロイ



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庭園の中にはカフェも


ヒルズで娘に早めの母の日として、Maison du Chocolat でお茶

Chocolat Chaud ショコラ・ショ(ホット・ココア)と
bonbons de chocolat ボンボン・ド・ショコラ (1個づつになってるチョコ)
 2個をたのみました

やっぱり おいしい!
(写真はありません・・・娘のがあったかな?)

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それから先日
汐留パナソニック美術館で開催中の
ギュスターヴ・モロー展に友人と

こちらは狭い場所ですが、なかなか工夫された展示で
パリのモロー美術館から何点かきていました

有名な Apparition (顕現)」もありました
(カードです)

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これは大きいままにしておきますか
全体に網の目のようにかけられた
東洋的な模様が神秘的な雰囲気を増しています

ヘロデ王に踊りの褒美をといわれ、サロメは洗礼者ヨハネの首を
所望します その首が幻影となって彼女の前に現れる



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運命の女神にひかれる「死の天使」 
わたしは前からこの絵は好きで
ドン・キホーテ、と思っていたかも
たしかに天使の羽がありますね


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これは水彩で、展示はされていませんでしたが(習作のデッサンがあったかと)
マリアの下に咲いた百合の花とその下に累々と積み重なる
殉教者たち

モローの水彩画、そういえば素晴らしい
今回はほとんどなかったですね



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全体的に Femmes fatales ファム・ファタル =運命の女、つまり男性を魅了して
破滅に導く女性、が多かったのですが、これは
清らかな女性にしか、なつくことのない、という
ユニコーン(一角獣)と女性たち

最後のほうの展示で、うつくしかった



パリのモロー美術館といえば、最初に行った時
院生でしたが、夏休みのこととて
残酷にも、

Fermeture annuelle   夏季休業中  フェルムチュール アヌエル
                (annuel は年の、年次、の意)

くそ!とドアを叩いたのは私だけではなかったはず
そのころから興味あったのかな、おそらく日本で作品を観たかと
パリに滞在中、2回行ったと思います

NHKでも放送していましたが、モローは母親を崇拝しており
きづかっていたようです。でも厳しいところもあったようで
抑圧されてたのでは??と思ったり

カードにはもちろんなかったのですが
「八つ裂きにされたオルフェウス」とかいう絵がありました
オルフェウスと思われる体が横たわって、岩場のようなところに
置かれている そばには小さな川が・・・

まあ、死とエロスは隣りあわせですね・・・


モローがお好きなら、この展覧会はお勧めです!

いつも所蔵品のルオーが多いこの美術館ですが
今回は少しで、美術学校でのモロー先生の弟子でもあり
ルオーの写っているクラス写真が展示されていました

とうとう東京地方も梅雨に入りましたか
雨の日でも美術館はよいですね

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