少し前のことになりますが、わたしが気になっていて、尊敬する
二人のフランス女性が亡くなりました

一人は Simone Veil シモーヌ・ヴェイユ
政治家で、ヨーロッパ議員
シラク大統領の時に、内閣に入り、厚生大臣をつとめ
彼女の功績として、もっとも重要とみなされている
IVG (intérruption volontaire de grosesse 自発的な妊娠の中断、つまり
妊娠中絶 日常語では、avoirtion といいます)を合法化したこと
フランスではカトリックの影響も強く、禁止されており
やむを得ず中絶する人は、国外、スイスとかスペインに渡航せざるを得ませんでした
経済的にも、健康面からも危険や問題をはらむこの問題を解決させようと
議会に提出、さまざまな反対、誹謗中傷にも負けることなく法案を成立
1974年のことです
過去には、ヴィシー政権(ドイツ占領に協力した政権)は、1943年に、非合法で
堕胎を女性たちのために行っていた女性、Marie-Louise Giraud を、見せしめのため
処刑した、などの経緯がありました
シラク氏は、右派の政権で、シモーヌさんはどちらかというと
右派の人ですが、左派からも信頼があり、フランス人に人気の政治家でした
彼女の特異な点は、ユダヤ人で、アウシュヴィッツからの生還者であること
子供時代を過ごしていたニースで逮捕され、家族は男女別々に強制収容所に
父と兄はリトアニアの収容所で死亡、
母と妹のMilou とシモーヌ自身のうち、彼女と妹がアウシュヴィッツから生還
(さらにすでにレジスタンス(対独戦線)に加入していたもう一人の妹Denise は
逮捕され収容所に送られたが、ユダヤ人であることを隠し通して、後にパリで再会)
大変な時代を生き抜いてきただけでもすごいことです
彼女の自叙伝 Une vie ある人生(トップの写真)を以前読んでいました
(わたしは本をを読むと書き込んだり、めちゃくちゃに痛めるんですが・・・)

子供時代の写真

写真の一部、彼女の交友関係の広さを物語っています
左はもとの法王、ヨハネス・パウロ・2世、
下はアベ・ピエール(ピエール師)、弱者の救済に奔走した人です
右上は光っていますが、50年後、アウシュヴィッツで
下は彼女のお子さん、お孫さんたちと
ほかにも各国の王、ヒラリークリントン、マンデラなど・・・
6月30日、89歳で逝去
国葬が、Invalide アンヴァリッドの中庭で行われ
二人の息子さんが追悼の言葉を述べ、それはMaman!と呼びかけた
暖かいものでした
Macron 大統領ももちろん演説し、Simoneさんをただたちに
フランスの偉人たちが眠る Panthéon パンテオン(パリ5区にあり)に
すでに亡くなっていたご主人とともに(これは家族の希望による)
祀られることを宣言しました
(死後すぐに入ることは大変珍しく、文豪 Victor Hugo くらいだそうです)
上のyoutube のページに、マクロン大統領の演説もあります
多少、マクロンの人気取りの感じもなくはありませんが、当然の決定と思います
本当に勇気ある女性、彼女のことはずっと語り継がれることでしょう
もう一人は女優の Jeanne Moreau ジャンヌ・モロー
7月31日に、やはり89歳で亡くなりました
フランスを代表する女優さん
ルイ・マル監督の「死刑台のエレベーター」
フランソワ・トリュフォー監督の
「突然炎の如く」 その他多くの映画に主演。監督も
突然炎の如くはわたしの大好きな映画のひとつですが
原題は Jules et Jim 「ジュールとジム」です
二人の男性、Jules と Jim は同じ女性を愛してしまった
情熱的でドラマチックな結末ですが、原作(かなり前に読みましたが)は
この二人の友情の物語、としています
どれも古い映画で、わたしも名画座とかテレビで見たのですが
30代くらいの方には、ジャンヌ・モローは
ヒット作 「ラマン」 L'Amant のナレーション(作者のDuras デュラスの役)で
おぼえておいでかも
大変特徴のある声ですね
これは最後の部分ですが、はじめのところは英語版しかみつからず・・・モローさんの声を聴けます
Jules et Jim の映画に、モロー自身がうたっている
Le tourbillon トゥルビヨン つむじ風 という印象的な歌があります
わたしはCDを以前買いましたが

ま、歌う女優、という感じですが
シンプルで味わいのある曲です
わたしたちは、出会って、いっしょになって、また人生のつむじ風の中に
戻っていったが、ある日また、きみの腕のなか・・・♪
あれれうまくいかないかな・・・youtube
あ、アップされるとOKですね
英語の字幕つきです 映像はちょっと縦長になってひずんでいますが
ぜひ聴いてみてください!
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