
Le Rayon Vert たぶん、ロメール監督の最高傑作。
ともかく好きです。
ここでの proverbe は ランボーの詩から
Ah, Que le temps vienne où les coeurs s'éprennent
「ああ、心躍るときが来るように」
(わたしが時々引用するのとは少し違っています。これ自体に
variantes 違うヴァージョンがあるためです)
前回と同様、まずはDVDの内容紹介文から
Le 1er juillet, Delphine ne sait pas encore où elle ira en vacances. Elle ne veut pas partir seule, et ses collègues s’en vont toutes avec leurs petits amis. Elle n'a pas de petit ami et se sait trop exigeante pour espérer en trouver un rapidement. Le mois qui s'annonce va lui réserver bien des suprises...
7月1日、デルフィーヌはどこにヴァカンスに行くのか予定がない。一人では出かけたくないし、同僚たちは皆恋人と出かけるのだ。彼女には恋人はおらず、すぐに見つけるには彼女は注文が多くて無理なことがわかっている。この7月、多くのおどろきが待ち受けている・・・。
約束していた友人にドタキャンされて、困ってしまうデルフィーヌ。
一人でどこに行くのか?

パリで友人と相談。おしゃれですね。いまとシルエットは少しちがうかも
しれないけれど、やらわかい夏の服。
みかねた友人がシェルブールの親戚の家に誘ってくれる。
(こういうのは、フランス良くあります。簡単に誘う。)

あの男の子なんかどう? とデルフィーヌに。
でも、彼女はどちらかといえばなんに関しても気難しい、difficile。
友人の家族の家、庭で夕食。 お肉が出てきたら、菜食主義者だから、食べないという。(このあたりの会話はとっても自然。ふつうにフランス人がおしゃべりしている感じ。事実、主役のマリー・りヴィエールはロメール監督に提案し、自分の家族も出演して、即興の会話をディアローグに取り入れているとのこと)
ところで、誘ってくれた友人はカレシと来ている。
さびしさを拭いきれない、涙してしまうデルフィーヌ

しばらくしてパリに帰ってしまう。
今度は友人に電話して山に。ところが泊まることもなくすぐに帰宅。
もう7月末。
セーヌ河岸に行く。友人に出会い、彼女の親戚が所有するビアリッツのアパルトマンを借りることにする。(ビアリッツは大西洋岸の海水浴もできる有名な観光地)
大きな波の打ち寄せる美しい海岸。(ちなみにわたしも数時間滞在したことあり。でも泊まったのはスペインに入ってからの街)
海岸で le rayon vert 緑の光線のことを話しているグループに出会う。
中年の男女たちだ。ジュール・ヴェルヌの作品で語られているとのこと。一人の女性は3回見た、また彼女の夫は5,6度みたことがあるといい、説明する。
太陽が沈むときに最後の光を放つ、それが緑色。太陽が水平線に近くなるにつれ、プリズムのように光が反射する。青、紫はよくみえない。
黄色、緑はよく眼に見え、最後に緑が見えるという。大気の状態がよいときでないと見られない・・・。
ここでもカードをみつけるデルフィーヌ

スエーデン人の女の子が話しかけてくる(スエーデンといえば、フリーセックスのメッカのようだった・・・)
男の子と4人で話すが、満たされない彼女。

海辺を歩く。

ロメール監督は、特典映像のインタビューで、この映画では主役の彼女が赤を身にまとう以外は、色彩については細かく設定しなかった、しかし結果として、他の人も適当な割合で赤を着ていてうまく画面が落ち着いたといっています。
次の日、幻滅して帰ろうとするデルフィーヌ。駅で一人の男性と出会う。
電車を待つ間、彼女はドストエフスキーを読んでいる。この男性も読んだことがあるという。彼はサン・ジャン・ド・ルッツ(スペイン側)に行くところ。
丘の上に誘って二人で夕日を見ようと提案するデルフィーヌ。
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この先、めちゃネタバレです。
だんだん太陽が沈んでいく。男性は彼女をバイヨンヌに二人で行こうと誘う。ちょっとまって・・・
はたして彼女は緑の光線を見ることができたのでしょうか?
私は最初、エアチェックしたビデオでこれを見ました。ところが、緑の光線は見えません。おろかなことに!ビデオを巻き戻したわたし・・・。でもやはりわからない。それで、見えたかどうか、デルフィーヌは ウエー(Ouiの会話風)と叫ぶのですが・・・。
授業でしたときも、VHSでよくわからず。
それで長いこと、見えたのかどうかは観るものの判断にまかされているのか、と思っていました。
ところが!!!
今回、DVDを見たら、はっきりと最後に緑になるのです!
ああ、なんてこと! でも彼女は見たのだから良いか・・・。しかしドジな話です。
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インタビューでは、緑のものが出てくるとき、カードが出てくるときに流れる音楽についてロメールは語っています。(音声のみでロメール監督自身は登場しません。残念)



カード、ポスター、そして夕日の場面で。
ロメール作品には普通音楽は入っていません。あるとすれば、その場面に流れている音楽、踊っているレコードの曲など。しかし、この作品では以上の場面に音楽が入っています。それは、なんとBACHの綴り字からヒントを得て、監督がモチーフを作り、そこからフーガを作曲してもらったとのこと。

C はたとえば、日本語では ハ(ハ長調などの、つまりドの音です)
とても印象的なメロディーです。わたしはシューベルトか何かの一節と思っていました。
ぜひ映画の中で聞いてください。
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さてこれで、十分この映画の魅力を説明できたのか、はなはだ不安です^^
野川をよく散歩していますが、時々、以前住んでいたマンションの住人で
出版社の社長さんのK氏と出会います。このブログを読んでくださっていて、先日書いたロメールの話になりました。彼も大のロメール・ファンとか!うれしいことです。そして映画に大変お詳しく、映画の本もたくさん出しているからと、
「決定版!フランス映画200選」 中条省平著
その他をお送り下さいました。感謝。感謝!!!
この本、とっても面白いです。別項目で。
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